「明日の自分は今日の自分より一歩前に進んでいる」という気持ち−丹羽宇一郎著「北京烈日」−

 つい先日、名古屋に行っていた気がするのに、もうそこから1週間以上過ぎていることにびっくりしています。それだけ毎日、いろいろなことが起き、なんとか(ほんとなんとか・・・)やってきている証拠なのだと思います。先週も水曜日にはセミナーを、金曜日にはピンチヒッター、土曜日は診断士の協会の会合に参加してここでもミニセミナー受講などもありつつ、日頃の仕事も・・できてるかな?

 さて、今日は先週水曜日、いつものラジオNIKKEIさんでのお仕事が終わった後、大手町・日経カンファレンスホールで行われた「日経電子版特別セミナー」丹羽宇一郎さんのトークセッションで来場者プレゼントとして配られた本北京烈日をご紹介したいと思います。

 セミナーで、中国にいて怖くなかったのか?という質問に対し、丹羽氏は「別にビビることはなかった」とお答えになっています。伊藤忠商事の経営者時代には、車を使わず満員のJRに乗って毎日通勤していらして、「あの当時も周りからは警備の都合で車をなんて言われたけれど、そういうことは大丈夫だから」と。実際に北京で、車につけた国旗を取られた事件の時も隣に乗っていた公使に「俺は平気だから、今の状況を写真に収めておきなさい。もし、万が一のことが起きれば、それが証拠になって、問題提起ができるから。と言ったのだけど、公使は写真なんて撮ったことないものだから、なかなか撮れなくてね。」なんてとぼけたことをおっしゃって笑いを取っていました。フランクな方ですね。

 順番が後先になりましたが、丹羽宇一郎さんは前中国大使。民主党時代の民間登用の目玉人事でした。その前は伊藤忠商事に長くお勤めで、社長・会長にも就かれています。伊藤忠で社長に就任直後、累積債務を一気に償却したのち、業績をV字回復させたことを覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 さて、本書。丹羽さんが中国で感じたこと。そして「愛国親中」(P178)。国を愛した上で、中国と親善を結ぶということで、愛国が先に立つといいます。その愛国の思いを、例えば第5章の「日本経済をデザインする」という章では、国のグランドデザインを示すという形で表現しています。

 今日の表題はその中から。丹羽さんは日本と中国との差を、教育の行き届き方の差が大きいとご覧になっているようです。傷ものは売らない日本のスーパー。その正直さが信頼を生み、リピートにつながります。一方、多少の傷は隠しても、正規の値段で売りつけるのがいいとする中国流の考え方。だから日本から進出したスーパーは現地で成功するのだといいます。この差を埋めるために、今中国は、教育に国家予算の多くを割き始めています。

 日本においてもエリート教育の強化が叫ばれています。この本で丹羽さんはエリートもブルーカラーの精神を持つよう努力することが必要だといいます。

 

そう、ブルーカラーもエリートも、その目指すところはまったく同じなのです。良いものをつくるためにコツコツと働き、その積み重ねが人のため、社会のためになるのだ、という心がまえ―これこそが、今の若い人に最も不足していて、最も私たちの社会に求められているものなのではないでしょうか、

 若い人たちにはぜひ、3Kでも4Kでも辞さないぞという気概で事に当たっていただきたい。そこで大切なのが「明日の自分は今日の自分より一歩前に進んでいる」という気持ちだと思います。
(本書 p103より)

 私も、一歩でも前に進むお手伝い(求職者支援講師)から今週のお仕事スタートです!ついでに自分も少しでも進歩していたいと思っています。(もう若いとはいえない歳ですが・・・。)
 

 この他にも、尖閣の問題、世界の食糧事情、今後の中国との付き合い方など、今後の日本とアジア・太平洋を考えるということでもかなり役立つ資料などもあり、考える上でのヒントになる本だと思いました。この分野に興味を持つ方には、お勧めしたい本だと思います。