『平和を望むのであれば、過去の戦争を研究すべき』‐野中郁次郎編著「戦略論の名著」

 お盆の時期。平和な3連休の中日。こういう日だからこそ、あえて「戦争」「戦略」を考える本をご紹介しましょう。今日も新書からです。


 野中郁次郎編著「戦略論の名著」 - 孫子、マキアヴェリから現代まで (中公新書)。昨日、1日で一気に読み切りました。

 野中さんといえば経営を学ぶ人なら、戦略論ではかならず文献に当たるはず。失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)とか知識創造の経営―日本企業のエピステモロジーなど、太平洋戦争での日本の戦略の誤りを分析から現代の情報社会での経営の在り方まで、戦略を幅広く研究されている方です。

 その野中氏が中心となって、戦略本の名著と言われる12冊を、解説しているこの本。孫子の兵法、マキアヴェリから、シーパワーといえばマハン、そして宇宙時代の戦略と提言までがぎゅっとつまっています。

 そういえば昔マキアヴェリ読んだなあ。「君主は狐とライオンに学ぶべき」とか。クラウゼヴィッツ「戦争は政策遂行の一手段」だとか。これから戦略を学ぶ人にも、これから勉強する方にもおすすめです。ただ、内容はかなりハードです。そしてこの新書ではあくまで武力を中心とした「戦争」をテーマにしていて、「企業経営」の話は直接は出てきません。その点はご注意ください。

 そして、タイトルにも挙げましたが、平和を欲するのなら、現実から目をそらさずに、戦争の意味をしっかり学んでおくべきという野中氏の巻頭の総論をかみしめながらもう一度読んでみようかなと思っています。