実はあまり話していない経済番組ラジオディレクターのお話。

気がついたら、ドル円相場は1$=80円を割り込み、一時は76円台をマークし、今は77円台前半の攻防になっています。調べてみたら、去年の今頃は84-5円だったようです。1割近い円高は輸出企業にとってはつらい状況ですよね・・・。

去年の今頃からラジオNIKKEI「マーケット・トレンド」という番組を週に1回担当させてもらっています。金をはじめととした工業品と原油などの先物相場の展望をお伝えする番組です。当初、各銘柄ごとの特徴や相場感をまずつかむことで精いっぱいだったのですが、番組をやらせていただくにつれ、もっとつかんでおかないとならないことが多いことに気づきました。

金や原油地政学的リスクが大きく相場を左右します。中東で、きなくさい動きとかいう話になれば当然相場をそれを先取りしていきます。それだけでなく、EU問題でも金は敏感に反応します。今回のアメリカの連邦債務上限問題のように、政治にも大きく影響を受けます。マネーの動きということを考えれば、株価の高低やマネーサプライ、金利の動きにも注目している必要があります。結局、株や債券、不動産などの投資に魅力がなくなれば、金あまり現象の矛先がコモディティ市場に向かってくるわけです。

今回のアメリカ連邦債務上限問題は、もし解決しなかった場合、国債の暴落、アメリカの地位失墜、ドルの信認低下など、相場に与える影響が大きすぎるだけに注目してみていました。とりあえずは、議会の合意が得られたのは良かったのですが、それでもアメリカ国債の格下げがありうるという観測から、ドル安が収まらないのは心配の種です。

新興国、特にインドや中国の金消費の動向は相場を大きく動かします。日本はほぼこれらの産物を輸入していますから、為替相場も押さえておくのは当然です。先進国の景気がよくなれば、部品に使われる金属の値段は強くなり、不透明感が強くなると弱含みになります。さらに原油は湾岸でとれるところもありますからハリケーンなどの自然災害にも左右され・・・。

などなど、おそらく昔からコモディティを扱ってきた方には当然と思えるようなことをなんとか吸収して、パーソナリティさんやコメンテーターさんの少なくとも打ち合わせの会話についていこうと、ネットや新聞等の見方が大きく変わりました。為替や株価がこれだけ、ほかの相場にも影響を与えるのだなとか、情報の重要性を再認識した1年でもあります。

15分と短い番組ですが、パーソナリティさんやコメンテーターさんのいいところを壊さないよう、これからも粛々と役割をはたしていきたいなと思います。ディレクターの仕事って地味で積み重ねが必要なことが結構多くて、決して華やかな世界ではないところが、実は私向きだったりするところなのかもしれません。


今でもラジオディクレクター志望の方と思われる検索がちょくちょく来ているので、ちょっとこんな話題も載せてみました。一口に「ラジオ」と言ってもいろいろな世界があります。