事実を積み重ねて真実を生む

6月のソウル旅行の時、半分読んで、あと半分残っていた
小説ほど面白いものはない 山崎豊子 自作を語る3 (山崎豊子自作を語る 3)
つい最近読み終わりました。



山崎豊子さんといえば「沈まぬ太陽」「大地の子」「運命の人」などは本で
白い巨塔」「不毛地帯」「華麗なる一族」はドラマで作品を拝見していますが
とにかくスケールが大きく、驚きの展開が多いストーリーを紡いでいる作家さんです。

その作品がどのように書かれたのか。
これまでなかなか明らかにされてこなかったエピソードや
山崎さんの考え方が、実は週刊誌の対談などで
述べられていて、それらのお話を「自作を語る」3部作と
いう形でまとめたのが、このシリーズ。

対象に対して真摯に向き合い、徹底的に調べて書くからこそ
不毛地帯」ではロッキード事件の予言的な本となったり、
それ以外でも、現代の問題点をずばりえぐる作品を
上梓されています。

調べて書く。全力を込めて書く。
だから数年に一作しか書けない。
山崎さんの書き手としての姿勢がひしひしと伝わってきます。


それに松本清張さんとか長谷川一夫さんとか
大物との対談が目白押しですから
読んで損はない本だと思います。

私が一番興味深く読んだのは
「事実は小説より奇なり」の章。
山崎さんと城山三郎、秋元秀雄、三鬼陽之助、伊藤肇各氏との対談。
ほんと豪華でため息が出ます。




ほんの少しだけノンフィクションライターになりたいなどと昔は思ったのですが、
いまとなっては夢は夢のままでいいと思うような話です。
事実の積み重ねのために数年間かける作家さんの話を
読んでその思いがさらに強くなりました。