「分からないからこそ、明日まで生きてみるのもいい。」

第143回直木賞が先日(といってもかなり前ですね)発表されました。

受賞したのは中島京子さん『小さいおうち』文芸春秋)でした。残念ながらまだ『小さいおうち』は読めていないのですが絶対そのうち手に取ることでしょう。今回の直木賞の候補作品ですでに読んでいたのは以前に本屋大賞を取られた冲方丁さん『天地明察』角川書店)。この物語も知的好奇心を刺激するとともに人の縁とか、使命感とかを考えさせる好著です。しばらくしたらこの本もブログで取り上げます。

今回の候補作が発表された頃、それではとりあえず1冊と思い購入し、やっと先日読み終えたのが乾ルカさん『あの日にかえりたい』実業之日本社)でした。

6篇の短編小説を通じてのテーマは帯にも書いてありますが、「時の残酷さと優しさ、そして時空を超えた小さな奇跡と一滴の希望」。


青春の痛み、郷愁、残されたものの哀しさを描いた「へび玉」。いじめられっ子脱出の物語「真夜中の幼稚園」や表題作の「あの日にかえりたい」と好きな作品はたくさんあるのですが、その中でも私の今までの心境に一番合うのはラストに収録された「夜、あるく」。20代半ばで札幌に単身赴任した亜希子とその札幌での散歩の途中で出会った70代の老女。なぜかしらその老女が気になって仕方がない亜希子は老女に会うために夜の散歩に出かける。再会ののち、しばらくしてから声をかけると、意外な展開が・・・。(これ以上くわしく書くとネタばれになるのでやめます。タイトルはこの篇から取らせていただきました。)

希望というのはどこで出会うかわからないもの。そう思って毎日とにかく生きてみる。中学生・高校生の頃、私もそんなことを思っていました。あまりくよくよしても仕方がない。とにかく一歩でも前に進んでみる。よっぽどのことがない限り、そんなに悪いことは起こらないものです。たまには落とし穴はあるけれど。その分思いもかけず良い日になることもたまにはあったりして・・・。今日はどんな日になるのでしょうか。