「それでもやはり私はリンゴの樹を植える」

大学生になった頃、うれしかったことの一つが「本を自由に買える」ことでした。

高校生までは 図書館で借りる、お小遣いを工面する、親に泣きつくくらいしか手がなかったのに、大学ではアルバイトのお金が使え、大学生協という強い味方で本やCDが割引で買えました。昼休みや授業後、よく生協には通っては、まとめ買いをしていたと思います。

その時代の特に文庫本は長年物置にしまってあったのですが、私が10年ぶりに実家に戻った時に取り出して見て、自分の部屋に戻しました。その中の一冊が今日、ご紹介するガン50人の勇気 (文春文庫)

確か、この本は就職活動をしている頃はず。なぜならどこかの面接で最近読んだ本で印象に残ったものはと聞かれて、この本のことを挙げた記憶があるから。

Q「この本の何が良かったの?」
A「元々柳田邦男さんのノンフィクションが大好きでほとんどの本を読みましたが、この本は末期がんの患者さんとその家族や友人などの実話に基づいて、人の尊厳、やさしさ、かけがえのないものを教えてくれて感動しましたし、自分もこういう立場になったときのことを考えさせらました。」
確かこんな感じだったのではないかと。

表題の「それでもやはり私はリンゴの樹を植える」は原崎百子さんの日記からの引用。だんなさんは真剣に告知に悩み、告知を受けた奥さんはそのだんなさんの気持ちに深い感謝を持ち、愛情を感じながら、自分の今できることを残された時間の中でしっかりやっていこうと決意します。一日一日を精一杯生きている姿が想像できるお話で、その当時の私に深い印象を残してくれました。

今、私は原崎さんが亡くなった年齢と同じ43。今生きていることに感謝しながら今日も一日過ごしてゆきたいと思います。



ここ数日、命とか希望とかという話が続いてしまいました。明日からはちょっと流れを変えたいなと思っています。いろいろ本以外にも話したいネタが自分の中で発酵してきましたので。