火中の栗を拾う

お盆も近いですね。

昨日も若干父の話を書きましたが、私と違って父は無口というほどではありませんが、それほど話す人ではありませんでした。銀行マンということもあり守秘義務もあって、必要なことは言われなくともしっかりする。そんな人だったのと思っています。

彼は園芸と読書と囲碁が好きで、その中でも、読書の血は私が引き継いだようで、今でも父が読んでいた雑誌を定期購読しています。その雑誌が「選択」。ニュース雑誌の中でも、その記事の質の高さと連載記事の格調の高さには定評があります。「危機管理」という言葉が定着したのもこの雑誌に連載されていた佐々淳行さんの連載コラム「危機管理のノウハウ」が一つのきっかけ。私は大学生の頃から分からないなりに父から渡されるこの雑誌を読み、今でも定期購読を引き継いで行っていますからもう25年ほどの読者ということになります。

今月の選択8月号の経済欄CLOSE UPに取り上げられているのは、「火中の栗を拾った「小説家」江上剛」。江上さんは小説「非情銀行 (新潮文庫)」など銀行を題材とした経済小説家としても、テレビの金融関連のコメンテーターとしてもおなじみの方(めざましとかによく出ていました)。江上さんはもともと第一勧業銀行(現みずほ銀行)の出身。広報畑を長く歩んだ後、小説家に転じられたのですが、その彼が「あの」日本振興銀行の社長になったのですから、ほんとうにびっくり。前経営者が逮捕されるほど、危ういビジネスに上に乗っかっているこの銀行をどう立て直すかは本当に見ものです。中小企業のための銀行として、もし、日本振興銀行が再生できれば、診断士の私にとってもうれしい話ですし、何より、あえて苦境に立つことを分かっていて、この大変な役目を引きうけた彼の決断に拍手を送りたいと思います。

昨日、映画ハゲタカをNHKが放映していたようですが、おそらくこの銀行の再建はこの映画のストーリーの上をゆくものでしょう。こんなピンチに立ち向かう勇気と、実際の再生のためのノウハウ・手腕を身につけたい。よちよち歩きを始めた診断士はこんなことを考えながら、まずは目の前にある課題を乗り越えてゆきたいと思っています。