ラジオディレクターという仕事(2)

予告通り、本日はラジオディレクターの仕事内容についての説明をしたいと思います。

私は局のディレクター、プロデューサー、制作会社所属のディレクター、プロデューサー、今現在はこの下の分類で行くと(会社所属ではありますが、)フリーのディレクター、に近い仕事分担になっていますので、だいたいの立場は経験しました。

で、勤務時間と、それ以外、勤務時間の中でも番組周辺の時間を切り分けてご説明するとこんな感じかと。



<勤務以外の空いた時間で心掛けないとならないこと(特に局のディレクター)>
・好きでないジャンルも含めた様々なジャンルの曲の試聴。
〜ヒット曲、これからきそうな曲へのアンテナ。インスト系のストック。
(常にテーマ、BGMのレパートリーは持っていたい。)

・自分の担当分野とその周辺の情報収集。
(WEB、新聞、雑誌、書籍等で常に最新の知識の補充を)

・一般常識としてのニュースへの関心
(生番組を担当していれば、音楽番組の途中でも突発のニュースは入ってきます。瞬間の判断が問われた時、必要なのは「常識」的にこの突っ込み原稿はすぐ入れる必要かあるかの自分なりの基準だったりします。)

・もし、自分が将来、ヒット番組を作って見たいとか、この分野のことを伝えたいとか思っているなら企画書の作成・提出。ライブ・イベント・映画などでのはやりのチェックや面白い喋り手の発掘。




<CUE振り以外の業務時間(社員Dや、完全に番組を任されている制作会社のDの場合。>

・CUEシート作成。(日々変わるCM秒数の確認。スポンサー要請のインフォメーション原稿当て込みなど)

構成作家等への細かい内容指示。逆に相談に乗ってあげることも。

・ゲストブッキング、出演者の送迎手配。

・事前取材等。インタビューなどの事前収録。

・長時間番組等で予算もあるのなら、ADと打ち合わせて弁当等の手配等。

・番組宛てメールや手紙のチェック。

・番組企画会議の開催。

聴取率調査対策の企画だし。

・会社員としてやらねばならない伝票処理など、一般雑務。




<打ち合わせ、CUE振り、番組終了後>

・事前にCUEシート、コーナー台本、インフォメーション原稿、資料のコピー。


・だいたい1時間前位に出演者・関係者が集まるので、打ち合わせ。熱心にやるばかりが能ではなく本番にテンションが高まるよう、あまり硬くならずに少しでも楽しい雰囲気を作るなどの工夫。そのためにパーソナリティの好きな何かを用意するとか、それぞれ、Dならではのやり方がある。

・本番直前にはスタジオの音周りのチェック。専門のミキサーがいればいいが、ラジオの場合はDがミキサーを兼ねることがあり、その場合、事前の機材チェックや音量確認は欠かせない。中継がある場合にはその現場とのラインチェックなど。

・本番中は、パーソナリティに不安を与えないよう、なるべく堂々と。生番組なら分、秒刻みのタイムキープと内容のチェック(特にインフォメーション系の情報に漏れ・間違いがないかをしっかり聞く・・・何かあったら即座に指示)をしながら、音声のミキシングで放送のバランスを一定に保つ。ジングル、テーマの送出や、CMや番組終了のきっかけのTAKEボタン押しなどもある。この指示や送出を明確かつ確実に行えるかがディレクターとしての最低条件。

・番組終了後はホームページ用のなんらか企画や写真撮影などのお付き合い。

・出演者を送り出して、後片付けをして業務終了。

ざっとこんな感じでしょうか。






構成作家やADがいれば、コピー取り等の雑用系はこなしてくれますし、フリーのDはほとんど当日の送出準備とCUE振り、残務整理で、ブッキングなどのお仕事は社員がプロデューサーとしてこなすのが普通です。いろいろ番組の個性や局のカラー、制作会社の力量等で担当業務は変わってきますけれど、とにかくラジオは人が少ないのでディレクターはなんでもできないとなりません。ただ、本番のCUEを振ることだけでなく、担当時間のかじ取りのほぼすべてを任されているのがディレクターです。おどおどせず、周りのスタッフが気分良く、パーソナリティがのびのびと話せる環境作り。これが大切なんですけど、若いうちは自分が緊張してしまって、なかなかこれができないものです・・・。



次回は、(明日とは限りません。)ラジオの構造とディレクターの役割についてさらに突っ込んだ説明をしたいと思います。なぜベテランのディレクター、局のディレクターが必要なのか、なぜ私なんかに声がかかるのかはこのあたりの説明が不可欠ですので・・・。