「いい母親」なんかほしくない。私はお母さんの子でよかった。

「KOMAPPYさん、本よく読んでますよね。きっと本を読むことはいつものことで、それによってリラックスできたりするんじゃないんですか。」

いいようにとらえるとそういう面もあります。確かに本を読んでいるのは楽しいですし、大切な時間です。ただ、その一方でやらなければならないこと、例えば明日テストなのに、勉強しないで関係ない本を読んでいるのは現実逃避かなと思う部分が多々あり、ストレス解消とやらなければならないことをする時間を作ることとのコントロールが自分にとって難しいところです。昨日も雑誌1冊・本2冊を読了。いったいなにやっているのでしょ。私。

それはさておき、久々に本のご紹介。
おそらく、いい本なんだろうなと思いながら、つみっぱなしになっていて、今回すきま時間で読んだのが、アリス・カイパース著[「冷蔵庫のうえの人生」。しばらく前にご紹介した「その日のまえに」に近いジャンルの本です。アリス・カイパースさんは現在カナダにお住まいのようです。

設定ですが、産婦人科のお母さん、15歳の娘(クレア)と、ペットのピーター(おそらくウサギだと思います。)との暮らしのようですが、特にこういったことの説明はなく、冷蔵庫に張られた伝言メモのやりとりだけで、ストーリーは展開します。クレアの恋、母としての心配、お母さんが思いもかけず、がんと診断され、どう病気と向き合い、どうその状態を娘に伝えるかの葛藤、さまざまな治療への不安と疲れ。メモという形だからこそ、脈略はないけれど、シンプルでかつストレートに気持ちが伝わったり、文字にできないもどかしさ、気遣い、優しさ、残酷さもあり、読むのには時間がかかりませんが、思わず、ページをめくる手がとまったり、考えさせられることの多い本です。

私は好きな本で評価は高いです。が、とにかく文字数は少ないですから、重厚な本を求めている方にはお勧めはできません。これからの秋の夜長に、ゆっくり物思いにふけようという感じの時、手にとってみていただきたいタイプの本です。

(タイトルは215ページからの引用です。)