挫折の持つ意味

玄田有史さん希望のつくり方 (岩波新書)からもう少しご紹介をさせてください。

玄田さんはこの本の中で自分の挫折経験として、若いころ、自分の講義に自信を持てなかったころの話を挙げられています。(pp113-116)。こういう話を著書で語れる人は立派だなと思いますし、自分の中に過去に対する許しと、今の自信に基づく強さを感じれて素敵だなと思います。

自分のエピソードも交えて、玄田さんは「現在希望を持って仕事をしている割合が圧倒的に高かったのは、挫折を乗り越えた経験を持つ人々だった(p111)とおっしゃいます。いいかえると、「過去の挫折の意味を自分の言葉で語れる人ほど、未来のなかの希望を語ることができる。」とも。(pp112-113)


なぜ、「希望」と「挫折」という正反対の概念がつながるのか。それは

挫折を語れるということは、過去の失敗を自分のものとしてとらえなおし、現在の自分の言葉で表現できることを意味しています。同じように希望を語ることも、未来の成功とはちがいます。希望は、未来の成功に向かっていくことを指し示す、現在の自分の言葉なのです。

「過去」の失敗、今「現在」の力不足。こういったものを客観的にとらえて、「未来」へのエネルギーに替える。
「できないこと」「わからない」「後悔」・・・これらはみんな将来の「希望」に変換できるのです。自分の気持ちの持ち方次第で。

なかなか今悩んでいる人、苦しんでいる人には届かないのかもしれないけれど、もしちょっと落ち着いたら、このエントリを思い出して欲しいな。