「今夜は寒いから、トン汁にしよう。体が暖まって、よく寝られるぞ」-重松清著「また次の春へ」

 本を読みたいのに、読めていません。2月は怒涛のように流れて、もう3月もおわろうとしています。

 やっと、少しの余裕ができて、本も読みたいし、ついでにいろいろすませいたいしと・・・先週久々の献血ルームへ。成分献血の1時間強は貴重な読書タイム。ここで何をよもうか。もしかして格好の悪いことになるかもしれないけれど、どうしても読みたいよなぁと思い、持っていったのが重松清「また次の春へ」

 恰好の悪い?

 どうして、恰好の悪いことになるかというと、油断しているとつい涙腺が緩くなってしまうから。今回もそんな話がたくさんつまっています。タイトルでご紹介したのは、この本に収められている短編の中の一番最初の章にある。「トン汁」の中から。(p14)

 子供たちに「トン汁」をふるまおうとするお父さん。でもめったにそんなことしたことないので、なぜかみそ汁の具には、豚肉ともやしが。もやしだったら、包丁がいらないからと。でもこれがきっかけに、オリジナルのトン汁となり、子供たちが成長していってもそれぞれの家庭で形を変えながら残っていき、やがて、それはと震災の避難所へとつながっていきます。

 いつもながらの重松さん流のストーリー構成。献血の看護師さんにうるうるしているのばれないかなと平静を装いながら、でも内心、感動しながら読んでいました。やっぱり重松さんの作品は家で誰にも見られずに、読んだ方がいいなと再確認しました。

 今日は春を味わいに、これから会合とそのあとの打ち合わせにお出かけです。2月にいっぱい働いたせいか、気になるコレステロール値も下がってなんとか正常範囲に。(献血時の血液検査の結果です。)今日は少しは食べても大丈夫かな?なんて。